2009年 1月 29日...8:42 am

Kimiko Kasai / Tell Me A Bedtime Story (1979)

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歌は「下手」な方が良い場合がある。

上手いかどうかは別として「何か知らんが魅き付けられる」「病み付きになる」というたぐいの歌手がいる。

黒人みたいに歌える歌手の歌を聴くのであれば、本物の黒人の歌うR&Bを聴いた方が良いに決まっている。「アメリカでボイストレーニングを受けました。」「アメリカのゴスペルクワイアで歌っていました。」というのであれば、その程度の素人なら五万といるのがアメリカである。

笠井紀美子の歌う「Tell Me A Bedtime Story」には、えも言われぬ「妖艶さ」がある。曲は言わずと知れた、ハービー・ハンコックのカバー。

彼女は、60年代ジャズシンガーとしてデビュー、初期は主にスタンダードを歌っていたが、70年代いち早くフュージョンの要素を取り入れた事で話題に。’78年にはLAに移住。現在はサンタモニカに住み、ジュエリー・デザイナーとして活躍している。夫はリチャード・ルドルフ。ミニー・リパートンの元夫である。

この曲は’79年リリースのアルバム「Butterfly」に収録。アルバムタイトル曲を始め、「Tell Me A Bedtime Story」など8曲中6曲がハービー・ハンコックのカバー。しかもバックはハービー率いるヘッド・ハンターズ。ほとんどヘッド・ハンターズ フューチャリング Kimiko Kasaiの世界である。

このアルバムはソニーの企画もので、日本限定発売。ソニーの担当者が、マリーナ・ショウ/フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイの「ファンク版的」なアルバムを作りたかったに違いない。

オケを聴けば分かるが、ハービーにとっては「やっつけ仕事的な」アルバムではある。が、しかし、この胡散臭さが非常に良いスパイスとなり、密室的な「イケない雰囲気」を醸し出す要素となっている。

アルバムジャケットの彼女はアフロヘアー。「ステレオタイプ的」な要素もバッチリだ。一発取り?っぽい演奏ではあるが、ハービーのプレイは相変わらず申し分がない。今や日本在住のスーパーベーシスト、ポール・ジャクソンのベースも良いに決まっている。しつこい様だが、ヘッド・ハンターズ演奏である。悪い訳がない。

肝心の「歌」はどうなのか。ファンクに関してはイマイチ乗り切れていないものの、こういった「Tell Me A Bedtime Story」の様なミディアムスローにおいては彼女のイナタいボーカルが良く合っている。どれだけボイストレーニングを受けようとも喉で歌ってしまう感じや、いつまでたっても辿々しい英語の発音がまたいっそう「妖艶さ」を引き出す。ブラックマジックウーマンならぬ、イエローマジックウーマンか。

技術や理論に関係なく、体ひとつで歌ったこの感じこそが、聴く者を魅きつけるのではなかろうか。

このアルバムは笠井紀美子ファンのみならず、ハービー・ハンコックのファンにとっても外せない一枚だ。ちなみに’91年リリースのアルバム「Round & Round」では、ハービーの「Chameleon」をカバー。

ダイアナ・ロス「Love Hangover」を意識した作り。

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2件のコメント

  • 遠い昔を思い出しました。笠井紀美子は大学時代の同級生が聞いていてそれで知ったのですが、聞かせてもらったら日本人離れした歌い手でとってもアンニュイな雰囲気だと感じたのを覚えています。

    友人の彼女はそういえばミニー・リパートンも聞いていたので、そういう大人っぽい感じが好きだったようです。
    なつかしい。。。。

  • KUMAさま

    コメント有り難うございます!
    KUMAさんのおっしゃる通り、「アンニュイ」という言葉がピッタリです。
    この時代の音楽って、今聴いてもカッコ良いものばかりですよね。
    笠井紀美子やミニー・リパートン…..70年代万歳!


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